コラム

高齢の親御さんが心配な方へ ~詐欺被害を未然に防ぐ「見守り契約」とは?~

derta_kouken

ご高齢の親御様が日々の生活を安心して送られているか、離れて暮らすご家族にとっては常に気がかりなことと存じます。特に近年、高齢者をターゲットとした悪質な詐欺の手口は巧妙化し、被害が後を絶ちません。大切な親御様を詐欺被害から守るために、そして万が一の事態に備えるために、私たち弁護士がお手伝いできることがあります。本記事では、詐欺被害の現状と、その予防策として有効な「見守り契約」について詳しく解説いたします。

1 巧妙化する手口: 高齢者を狙う悪質な詐欺が後を絶ちません

「自分は大丈夫」「まさか騙されるわけがない」そう思っていても、高齢者を狙う詐欺の手口は年々巧妙かつ悪質になっています。オレオレ詐欺や預貯金詐欺、還付金詐欺といった古典的な手口に加え、近年ではSNSを利用したロマンス詐欺や投資詐欺、水道管や屋根の点検を装った悪質リフォーム、パソコンのウイルス感染を偽ってサポート契約を結ばせる手口など、その種類は多岐にわたります。

特に一人暮らしの高齢者や日中独居の方、認知機能に少し不安が出てきた方などが狙われやすい傾向にあります。犯人グループは言葉巧みに親切を装い、不安を煽り、正常な判断ができない状況に追い込んで金銭をだまし取ろうとします。一度被害に遭ってしまうと、経済的な損失だけでなく、精神的なショックも計り知れません。

2 なぜ詐欺被害の回復は困難なのか? その理由を弁護士が解説

万が一、詐欺被害に遭ってしまった場合、警察や弁護士に相談すればよいと思っている方も多いかもしれません。しかしながら、実際には刑事事件として事件化されたとしても、失った金銭を取り戻すことは非常に困難であると言わざるを得ません。その主な理由として、以下の点が挙げられます。

  • 証拠の不足・隠滅: 近年の詐欺事案では、犯人は身元を特定されないよう巧妙に証拠を隠滅したり、海外のサーバーを経由したりするなど、追跡を困難にする工作を行います。
  • 被害金の早期移転・費消: だまし取られた金銭は、すぐに別の口座に移されたり、引き出されて費消されたりすることが多く、その行方を掴むことができないため、被害金の回収が事実上不可能になるケースが少なくありません。
  • 犯人の特定困難: 匿名性の高い通信手段や、海外に拠点を置く組織的な犯罪グループが関与している場合、犯人の特定自体が極めて難しいのが現状です。
  • 時間との勝負: 被害に気づいた時点で迅速に対応しなければ、被害回復の可能性はさらに低くなります。しかし、高齢者の場合、騙されたことに気づくのが遅れたり、家族に迷惑をかけたくないという思いから被害を言い出せないケースも見受けられます。
  • 法的手段の限界: もちろん、弁護士にご相談いただければ、口座凍結や犯人に対する損害賠償請求など、法的な手段を尽くして被害回復を試みます。しかし、上記のような事情から、残念ながら全額の回収に至らないどころか、少額の回収でさえも困難なことが多いのが実情です。

だからこそ、詐欺被害は「遭ってから対処する」のではなく、「遭わないように予防する」ことが何よりも重要なのです。

3 詐欺被害を未然に防ぐ! 弁護士による「見守り契約」という選択肢

そこで私たちがご提案したいのが、弁護士による「見守り契約です。

「見守り契約」とは、弁護士が定期的にお電話やご訪問を通じてご高齢者ご本人とコミュニケーションを取り、生活状況や心身の状態に変化がないかを確認し、異変を早期に察知することで、詐欺被害をはじめとする様々なトラブルを未然に防ぐことを目的とした契約です。

この契約には、以下のようなメリットがあります。

  • 詐欺の早期発見・抑止効果: 定期的な連絡の中で、不審な電話や訪問、不自然な金銭の要求など、詐欺の兆候にいち早く気づくことができます。また、弁護士という第三者の目が見守っているという事実自体が、詐欺を企む者への抑止力となることも期待できます。
  • 孤立感の解消と安心感の提供: 定期的なコミュニケーションは、ご高齢者ご本人の孤立感を和らげ、話し相手がいるという安心感につながります。何か困ったことがあった場合に、気軽に相談できる相手がいることは、精神的な支えにもなります。
  • 客観的な状況把握: ご家族が遠方にお住まいの場合など、直接的な見守りが難しい状況でも、弁護士が専門家として客観的に状況を把握し、必要な場合にはご家族や関係機関との連携を図ります。

4 当事務所の「見守り契約」:きめ細やかなサポートで安心をお届けします

当事務所では、ご高齢の皆様とそのご家族に安心してご利用いただける「見守り契約」をご用意しております。

ささいな変化も見逃さない! 定期的なコミュニケーションの重要性

詐欺被害の初期段階では、ご本人の言動や生活習慣に微妙な変化が現れることがあります。「最近、電話の相手を気にしているようだ」「急に高額な買い物をした形跡がある」など、日常的な会話や観察の中から、私たち専門家が詐欺のサインを早期にキャッチすることを目指します。定期的なコミュニケーションは、そのような「ささいな変化」に気づくための重要な機会となります。

定期的な安否確認

お電話と訪問によるきめ細やかなサポート当事務所の見守り契約では、原則として【月1回のお電話】と【年1回のご訪問】による確認を基本プランとしております。お電話では、体調や最近の出来事、困っていることなどをお伺いし、心身の状態や生活状況に変化がないかを確認します。このお電話が、不審な勧誘や契約の端緒を発見するきっかけになることも少なくありません。また、ご訪問時には、直接お会いしてお話を伺い、生活環境なども確認させていただきます。ご本人の状況に応じて、適切なアドバイスや必要なサポートをご提案いたします。

いざという時も安心!法律相談で問題を早期解決(プラン特典)

見守り契約のプランによっては、ご契約期間中、法律相談を無料でご利用いただける特典を設けております。詐欺被害に限らず、悪質な訪問販売や消費者トラブル、その他日常生活で生じる法律問題について、気軽に弁護士にご相談いただけます。問題が深刻化する前に専門家のアドバイスを受けることで、早期解決につながります。

5 更なる安心を目指して〜「財産管理契約」というもう一つの備え~

「見守り契約」は、主に詐欺被害の予防や生活状況の確認を目的としていますが、さらに踏み込んで、ご自身の財産の管理や運用に不安を感じていらっしゃる方には、「財産管理契約」という選択肢もございます。

「財産管理契約」とは、ご本人の判断能力がしっかりしているうちに、信頼できる第三者(弁護士など)にご自身の財産の管理や処分を委任する契約です。この契約により、以下のようなメリットが期待できます。

  • 不必要な契約の締結防止: 悪質な業者からの勧誘や、判断能力の低下に乗じた不利益な契約の締結を防ぎます。
  • 計画的な財産管理: 預貯金の管理、不動産の維持管理や売却、家賃収入の管理、税金や公共料金の支払いなどを弁護士が代行することで、計画的かつ安全な財産管理を実現します。
  • ご家族の負担軽減: 将来的にご本人の判断能力が低下した場合でも、事前に財産管理契約を締結しておくことで、ご家族が煩雑な手続きに追われることなく、スムーズな財産管理が可能となります。

複雑な財産管理も弁護士が一括サポート

当事務所では、預貯金や有価証券の管理、不動産の賃貸管理や売却手続き、遺言書の作成サポート、さらには相続発生後の手続きに至るまで、財産に関する様々なご相談に対応し、専門家として一括サポートいたします。ご本人の大切な財産を、法的に保護し、適切に管理・運用するお手伝いをさせていただきます。

ご希望に合わせた柔軟な財産管理の対応が可能です

「財産管理契約」の内容は、画一的なものではありません。管理を委任する財産の範囲(例えば、特定の預金口座のみ、あるいは全ての不動産など)、弁護士に与える権限の内容、報告の頻度など、ご本人のご意向やご家族の状況、財産の内容などを丁寧にお伺いした上で、最適な契約内容をオーダーメイドで設計いたします。当事務所では、このような柔軟な対応を心がけておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

6 まとめ:詐欺被害に遭わないために、そして万が一の備えとしての見守り契約

高齢者を狙った詐欺は、決して他人事ではありません。巧妙な手口で、いつ誰が被害に遭ってもおかしくない状況です。そして、一度被害に遭ってしまうと、その回復は非常に困難です。

大切なのは、被害に遭う前の「予防」です。弁護士による「見守り契約」は、詐欺被害を未然に防ぐための一つの有効な手段であると同時に、ご高齢の親御様の孤立を防ぎ、日々の生活に安心感をもたらすことにも繋がります。また、将来の財産管理にご不安がある場合には、「財産管理契約」という備えもございます。

ご高齢の親御様のことで少しでもご心配なこと、ご不安なことがございましたら、まずは一度、当事務所にご相談ください。専門家である弁護士が、皆様のお話を丁寧にお伺いし、それぞれの状況に合わせた最適なサポートをご提案させていただきます。大切なご家族が安心して暮らせる未来のために、私たちが全力でお手伝いいたします。


任意後見制度や見守り契約等の導入をご検討中の方は、お気軽に法律事務所DeRTA(デルタ)へご相談ください。当事務所は、東京都港区西新橋に所在し、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に法的サービスを提供しております。当事務所では、任意後見・見守り・遺言・死後事務委任等に関する初回相談を無料で承っております。認知症対策、相続対策、事業承継対策など、あなたの悩みに合わせた最適なプランをご提案いたします。「任意後見」についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽に当事務所にご相談ください。

早めの準備がトラブルを防ぎます。あなたの大切な生活を守るための第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

併せて読みたいオススメ記事

合わせて読みたい
対話で理解する「任意後見」の基礎
対話で理解する「任意後見」の基礎
合わせて読みたい
任意後見契約に伴う財産管理契約とは?その重要性と具体的な活用方法を解説
任意後見契約に伴う財産管理契約とは?その重要性と具体的な活用方法を解説
合わせて読みたい
任意後見・見守り契約の基礎知識|高齢者が安心を得るための最初の一歩
任意後見・見守り契約の基礎知識|高齢者が安心を得るための最初の一歩

ABOUT ME
弁護士 黒澤真志
弁護士 黒澤真志
代表
2009年12月に弁護士登録(登録番号41044)し、アクト法律事務所にて勤務した後に2019年4月に独立し、法律事務所DeRTA(デルタ)を設立。 家族関係の法律問題に関する交渉事件から訴訟事件までを数多く取り扱っており、東京地方裁判所の破産管財人や東京簡易裁判所の司法委員も担当している。 著書に、「離婚・離縁事件実務マニュアル」(第3版)(ぎょうせい)共著、「遺産分割実務マニュアル」(第3版)(ぎょうせい)共著、「新破産実務マニュアル」(全訂版)(ぎょうせい)共著、「遺言書・遺産分割協議書等条項例集」(新日本法規)共著など。
記事URLをコピーしました